私たちは、知らず知らずのうちに、
自分の中にある「定規」で物事を測っています。

 

仕事の進め方や人との接し方、ものごとの考え方。
これまでの経験から身につけた自分なりの基準で、
相手の言動を判断することがあります。

 

その基準は、経験を重ねる中で培われた大切な財産です。

 

しかし、自分の定規で相手を測り、そこから外れているからといって、
相手を正そうとしてはいないでしょうか。

 

人にはそれぞれの経験や立場があり、ものごとを測る目盛りも違います。
自分にとって当たり前のことが、相手にとっても当たり前とは限りません。

 

田坂広志氏は、『仕事の思想』の「格闘」の章で、
人間と真剣に向き合うことの難しさを説いています。

 

「ヤマアラシのジレンマ」のくだりを借りるならば、
ヤマアラシが互いに近づこうとすれば、針で相手を傷つけてしまうように、
人間もまた、互いに自分の正しさを押し通そうとすれば、
ぶつかり合い、知らず知らずのうちに心の距離を広げてしまいます。

 

相手を正そうとする前に、まず自分自身に問いかけてみる。
自分がこだわっているのは、本当に大切にすべきことなのか。
それとも、自分のやり方や考え方に固執しているだけなのか。

 

もちろん、守るべき原則や譲れない価値観はあります。

 

自分の定規を持つことと、それだけで人を測ることは違います。

 

自分の定規を大切にしながらも、
相手の目盛りに目を向け、それを認め、受け入れる。

 

それもまた、自分自身との格闘であり、
日々の修行、なのだと思います。