温故知”身”

最終更新日:2023.10.20

こんにちは。設計課の稲坂です。

夏が終わり急に肌寒くなったので、このまま冬になってしまうのではと心配していたのですが、
ここ数日は過ごしやすい天気でホッとしています。

さて、自邸についてのブログが続いていますが、私もその流れに乗りたいと思います。

今冬に、富山市にある実家を建て替えることになりました。
計画自体は数年前から相談を受けていたのですが、コロナや家庭の事情などで思うように進まず…。
父の退職を機に本格的に計画を始動させ、約40日後に着工を迎えます。

現在我が家では解体に向けた片付けが大詰めを迎えています。
45年以上の住まいの整理は、両親と祖母だけでは到底終わりそうもなく、私も休日に手伝いつつ、漸く終わりが見えてきた状況です。

片付けが進まなかった原因は、単純な物量もありますが、思い出の詰まった品が出てくる度に都度都度手が止まってしまうことでしょうか。
旅行先で買ったお土産、思いがけず保存状態の良かった数十年前の写真、亡くなった祖父が趣味で作った皿や椀、箪笥の奥で眠っていた着物などなど…。
中でも印象深かったのは、現宅の青焼き図面と一緒に祖母が自身で引いた図面が出てきたことです。

今まで全く知らなかったので驚いたのですが、祖母は設計や製図の分野に関心があったようで(本格的に学んだ訳ではないのですが)、建てた当時の思いを語ってくれました。
南北に風が抜ける土地だからここに窓が欲しい、寝室は2方の道路から距離の取れる場所に、廊下はなるべく曲げずに歩きやすく…
存外具体的な要求の数々を聞いて、当時の大工さんの苦労を悟るとともに、
私が住宅設計の道を選んだルーツはここにあったのだなと思い知りました。

名残惜しい気持ちも日に日に増していく中ではありますが、建物の解体まであと10日間、物品の整理と一緒に自分たちの気持ちも整理して、
生家に別れを告げる準備を整えたいと思います。