超絶技巧を追いかけて

最終更新日:2019.11.30

こんにちは、金沢支店 管理課の北川です。

五月とは思えない高い気温が続いていますね。

昨年、文部科学省が学校教室における望ましい温度の基準を28度以下へと見直しました。

学校への冷房の設置が進むこの頃、私が子どもだった頃とは気候がずいぶん変わり、

変化に対応しなければいけない現実を改めてつきつけられたように感じます。

 

話は変わりまして、先日、弊社の長期休暇取得制度を利用して迎賓館赤坂離宮へ行ってきました。

片山東熊設計の宮殿建築の本館に、谷口吉郎設計の和風別館と見所はたくさんあるのですが、

私の目当ては本館の花鳥の間に飾られている濤川惣助の七宝です。

濤川氏は無線七宝という技法に長けた方で、

日本画のような絶妙なグラデーションのある画を、釉薬を焼いて作る七宝で描かれます。

迎賓館のwebサイトで作品の一部が見られるので、ご興味のある方はご覧ください。

 

昨年秋に安藤緑山の彫刻が見たくて行った京都の清水三年坂美術館で、濤川氏の名前を知りました。

その後、昨年末に富山県水墨美術館に巡回がきていた企画展「驚異の超絶技巧!

明治工芸から現代アートへ」で再び彼の作品に出会い、

春先に迎賓館赤坂離宮に30点の作品があると耳にし足を運んだ次第です。

気がつけば濤川氏を追いかけて、京都から東京へと大移動してきていました。

 

日本画の淡い濃淡に釉薬のガラスの透明感が加わった濤川氏の七宝は

できるならずっと眺めていたい作品ばかりです。

角度を変え距離を変え、作品の置かれている場の空気まで含めてさまざまに眺め、

作品を作った方や求めた方などへ思いを馳せる時間はとても幸せなひと時でした。

 

美術品に限ったことではありませんが、本物のよいと思えるものとの出会いは

世界を広げ、心を豊かなものにしてくれます。

自分が「よい」と感じる心をこれからも大切にしていきたいと思います。