「生まれてきたご用」とは、「使命」と言い換えられる言葉でしょう。
そして人生の「見えないことづけ」という表現から、
田坂広志氏の「人は大いなる何かに導かれている」という言葉を思い出しました。
若い頃の私は、父から継いだ材木屋さんの発展に力を尽くし、
それなりに会社として大きくすることができました。
その後は自分の理想の住まいを実現したいという思いから
アルスホームを設立しました。
2つの会社をもっと発展させたい。
世の中の多くの人たちに支持してもらえる住まいを創りたい。
それこそが、私の「使命」と信じて疑いませんでした。
しかし、田坂氏の著書『仕事の思想』に出会い、その考えは大きく変わりました。
確かにお客様や社員のためという想いは本物でした。
しかし、その奥には、自分の願望や執着、つまりエゴも大いにあったと気づかされたのです。
まさに「大いなる何かに導かれた」そんな気持ちでした。
以来、使命とは特別な成果を求めることではなく、
その時々に与えられた役割に真摯に向き合い、
自らを磨き続けることだと考えるようになりました。
そこに至るまでの自己内省は、まさに七転八倒の連続でした。
そして今は、長年培ってきた理念や思想を次の世代へ手渡していくことが、
私に与えられた「ご用」の一つではないかと思っています。
人生の終わりに、
「生まれてきたご用を精一杯果たした」
と静かに振り返ることができる。
そのような生き方を、これからも大切にしていきたいと思います。
皆さんにとっての「生まれてきたご用」も
毎日を誠実に歩む中で、きっと姿を現してくるでしょう。