住まいのコンセプト
何らかの商品やサービスの特徴について、「コンセプト」という言葉を使い表現される事が、日常の中でも、ごく普通の事となってきています。
この「コンセプト」という言葉、調べてみると意味は実に様々です。
「方針」であったり、「一貫した考え」であったり、「全体を貫く考え」等々…。簡単に言うと創り手が「何を大切にしているのか」といったところでしょうか。
確かに、商品やサービスを比較する場合、単に機能やメリットを紹介されるだけではなく、「コンセプト」として、創り手の考え方や思いを表現された方が伝わりやすく、消費者は判断しやすいと言えます。
では、「お客様の思い」を主軸に創りあげる「注文住宅」にとって、「コンセプト」とは必要なのでしょうか。
その前に、この「注文」とは何か?について整理すると、大きく「要望の提示」と「条件の提示」の2点に分かれます。
「要望の提示」とは、例えば「広いリビングが欲しい」であったり、「条件の提示」とは「予算をこれだけに抑えてほしい」であったり、といった具合です。
一邸一邸、白紙から作りあげる注文住宅は、ほとんどの場合、この「要望」と「条件」との間で、優先順位付けや、矛盾点に対するご家族での話し合いが重要となります。
そして、何らかの「価値基準」を元に「判断」する事が生じます。
この「判断」するための「価値基準」とは何か。
これこそが、注文住宅を創る上での、「コンセプト」となります。
新しい家で今後どのような暮らしを送りたいのか、今現在の価値観だけではなく、長いライフステージを見据え、ご家族とどんな人生を歩んで行きたいのか。
「どんな間取りにするか」「どんなデザインがいいか」等々、具体的な形を考える前に、ご家族にとっての価値判断基準となる、住まいづくりの「コンセプト」を考えることは、とても大切なプロセスであり、本来の注文住宅のありようと言えます。
住まいづくりにとって「コンセプト」とは創り手側の主張や方針では無く、ご家族の価値観を顕在化させた先に、かけがえのない答えがあります。