一枚のレコードには、その一枚だけの音を刻む溝があります。
人もまた、一人ひとり、その身に刻んできたものが違います。

 

生きていく中で得た知識や経験、身につけた技術や思想。
仕事に励み、学び、努力する。
失敗や挫折を経験し、人と出会い、さまざまなことを感じ、考える。

 

そうした一つひとつが、自分の中に刻まれ、
その人ならではのものになっていくのだと思います。

 

私自身、齢80に至り、あらためて思うことがあります。

 

人は、死ぬまで未完成なのだ、ということです。

 

どれだけ経験を重ねても、まだ知らないことがある。
考え方が変わることもある。
新しい出会いがあれば、新しい気づきも生まれます。

 

だから、生きるということは、完成を目指すことではなく、
最後まで自分自身を刻み続けることなのかもしれません。

 

そして、その人が刻んできたものが、
その人ならではの「音」、つまり個性になっていく。

 

人それぞれ違う音を持っているからこそ、
人生は豊かなのだと思います。

 

人は、完成して終わるものではない。

 

生きている限り、新しい経験を重ね、
新しいものを自分自身に刻んでいく。

 

だからこそ、今日という日も、
自分自身に何かを刻みつける一日にしたいと思います。