日日是好日

最終更新日:2024.03.01

こんにちは。

福井支店営業課の大野です。

数年前、福井の住宅センターに相談に行った時、待っている間に読める本が数冊ありました。ふと目に留まった森下典子さんの「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」をパラパラと読んだだけでしたが、この本にとても惹かれ、すぐに購入しました。

二十歳のとき、「お茶」をただの行儀作法としか思っていなかった森下さんが、やってもやっても、何をしているのかわからない、その日その時の気候や天気に合わせて、道具の組み合わせや手順が変化する、そういう茶室のサイクルを何年も何年も、モヤモヤしながら体で繰り返します。

すると、ある日突然、雨が生ぬるく匂い始め、夕立が来ることがわかります。庭木を叩く雨粒が、今までとはちがう音に聞こえ、その直後、あたりにムウっと土の匂いがたちこめます。それまでは、雨は「空から落ちてくる水」でしかなく、匂いなどありませんでした。土の匂いもしなかった。

いつしか、季節が「匂い」や「音」という五感にうったえ始めます。

人は時間の流れの中で目を開き、自分の成長を折々に発見していくことを感じます。最初は自分が何をしているのかさっぱりわからないのですが、ある日を境に突然、視野が広がるどころか、人生と重なる、ということをお茶を通じて実感します。「長い目で、今を生きろ」とお茶が教えてくれたと記されており、とても素敵な本でした。

「日日是好日」という言葉は、中国の仏書「碧巌録」に登場する禅語です。様々な解釈があるようですが、私なりに感じたのは、

1年の中には晴れの日と雨の日があり、どちらがよい悪いということではなく、それぞれのよい所に目を向けることが大切だと思います。人生もこれと一緒で、良い日もあれば悪い日もあります。悪い日にこそ、明日の良い日を信じて前を向くことが、大切なのではないかと改めて感じました。

1日1日を大切に生きる。改めて、そんな生き方をしていかなくては、と思えてきます。無為に過ごした日々については反省し、以後は、自戒して過ごすことが必要だと思います。

この言葉を知ってから、様々なタイミングで思い出されます。今からお茶を始めることはさすがに出来ませんが、座右の銘として、心に留めておきたいと思います。