『ES=CS』を考える

最終更新日:2024.04.04


                          経営管理部 見角勝弘

毎年、1月5日に在籍1年以上の社員を対象とするモラルサーベイを実施している。
2024年1月に5回目を終えたところ。

モラル(morale)は、士気や団結精神を表す英語で
企業においては「社員の働く意欲」と訳すことができる。

つまりは、回答結果に表れる社員による組織の健康診断であり
定期的に定点(同じ質問)で観測することで、組織がどんな状態にあるのかを
過去からの変遷をふりかえりながら把握することを目的とした取組みといえる。
モラルサーベイをES調査と表現したり、社員満足度調査と呼んだりすることに
違和感を覚えていた。
組織の健康診断ととらえるのなら、社員の声に耳を傾けようというのであれば
低い評価や何かを訴えるそれら言葉に、組織の真実があるとうけとめるべきだ
と思うからだ。

設問はいくつかのカテゴリーに分かれる。
特筆すべきは、サーベイ開始以来、毎回常に高い回答結果を示すものがあることだ。
それは「経営の方向性について」
95%以上の支持があり、自由記載のコメント欄には
なぜそう思うのか、あるいは、もっとこうしたらいいのではないか
という言葉が数多く並んでいる。

この結果は何から生まれるのだろうと、調査報告書を目にするたびに思っていたのだが
企業理念にたどり着いた。

そこで、今回のブログのタイトルである。

『ES=CS』は、アルスホーム「企業理念」のヘッドライン。
しかも それを考える と続けている。

大きく振りかぶったと思った人は少なくないだろう。
お前に何がわかるのだと。そんな資格があるのかと。

まったくその通りだ。

でもしかし、その組織に属する一員は、少なくとも自分の言葉で語ることが
求められるものではなかろうか。
もちろん、ふだん口にする機会はほとんどないし、わざわざ時間をとって考える
余裕などないという現実はある。

それでも、仕事を進める上でのものの見方や考え方の原点となり
何かあればここに立ちかえることのできる存在であるとすれば
企業理念について自分なりの見解を持っているかいないかで
思考や言動は大きく変わるのではないか、と思うのだ。

一方、『ES=CS』をして
ESがあってはじめてCSにつながる や ESなくしてCSは生まれない
という言説を見聞きすることがある。
もしそうであるなら ES➡CS がふさわしいだろうし
そもそも左辺と右辺をいれかえた『CS=ES』は成り立たない。
やはり違和感を覚える。               
                 (企業理念初稿 by 原野省三会長)

なぜ =(イコール)で結ばれているのか
ESとCSが等しい関係にあるとはどういうことなのか
ということの本質を理解していないことを
自ら認めていることに気づいていないからの発言に他ならない
と思ってしまうのだ。

かくいう私も、正直に言えば、あるときまでそうであった。
なんだ、お前も一枚噛んでいるじゃないか と突っ込まれてもしょうがない。

ちょうど20年前、企業理念の理解を試みる機会に面した。

書き連ねた文章を読みかえせば、当時の考えや表現には
自分でも拙さや至らなさを感じる部分が数多いし
いったい何を言いたいのか伝わりにくいというところも多くある。

それでも、そのときに重ねた思索から生まれた見解は今も変わらない。
そして、あの機会こそが、じわじわと一歩一歩進むことのできた
その後の20年間の底流にあったと実感する。

久しぶりに光をあてることが、自分の思考プロセスをふりかえる機会となり
節目を迎える2024年度の始まりにふさわしいのではと、掲載を決めた。

■『ES=CS』を考える(タイトルをクリック)
[1]プロローグ
[2]CSを考える
[3]ESを考える
[4]ES=CSを考える
[5]エピローグ

タイパ全盛の令和の時代(とき)に、まさに逆張りの長文読解。
はてさて、どんなふうに映るやら。
                             2024年4月4日