住まいと子育て

最終更新日:2022.02.21

昨今、価値観が多様化する中で、住宅を建てる時期や動機も様々ではありますが、未だ住宅業界にとって、いわゆる「子育て世代」は主たる顧客層と捉えられており、家づくりと子育ては大きなテーマと考えられています。

そうした背景から、世にあふれる住宅商品の中には、「子供のための住まい」「賢く育つ住まい」…、中には専用のキッズスペースやボルダリング等々、自分が子供の頃にこんな家ならば良かったと思える工夫が満載。実に楽しそうな写真が散りばめられ、建築主である親は、子供の為に様々なことを考えなければいけないものだと思わされます。

この「家づくりと子育て」という関係はどう捉えるべきでしょうか。
多くの住宅商品にとって、視点は大きくふたつに分かれるようです。
ひとつは、上記のように大人の視点から「楽しいだろう」というもの。そしてもうひとつは、家事がしやすい・片付けしやすい・勉強させやすいといった、子育てのストレスを軽減する視点のものです。


改めてこのテーマは、住まいにおける感性の醸成という点について考えさせられます。

子供は成長の過程の中で、居住環境から多くの事を学びます。
そして、ほとんどの大人がかつてそうであったように、子供は大人に憧れ、早く大人になりたいと思います。
視点として大切なことは、どう作るか小手先の工夫ではなく、この住まいは大人である親が日々の暮らしをどう捉え、どのような価値観を反映したかたちなのか。それによって子供は「何をどう感じ・学ぶのか」ではないかと考えます。

これから建てようとするこの住まいは、いつの日か子供にとって実家となる暮らしの手本であり、憧れであり続けたい。それが「家づくりと子育て」の本質ではないかと思います。