山海 満也
アルスホーム株式会社
代表取締役社長
山海 満也

経済的合理性

  • 社長メッセージ
最終更新日:2026.01.31

皆さんこんにちは。

今回は、設計における経済的合理性について記します。

先日の会議では、コスト高騰の影響により、
現場から経済的な設計への要請が強まっているとの報告がありました。

確かに、コストは上昇し、金利もまた上昇傾向にあります。
これは大きな逆風要因と言わざるを得ません。

そこで、当然のことながらコスト低減のニーズが高まります。

では、設計における経済的合理性とは何か。

一義的には、無駄なコストを徹底的に省いた設計と言えるでしょう。

しかし、ここには非常に重要な点があります。

無駄を省くということを表層的に捉えてしまうと、
単に「予算に入らないものを削る」という作業になりがちです。

またこのプロセスはお客様と設計者の押し合いになりやすく、
どうしても対立構造を生んでしまいがちです。


結論を先に言えば、 設計における経済的合理性の追求は、
お客様の本質とテーマを押さえない限り実現しません。

このプロセスは言葉で言うと簡単ですが、
実践するには、プロとしての高い力量が求められます。

まずは広範な知識と経験を自由自在に使いこなせること。

何を聞かれても答えられ、分かりやすく一言で回答ができ、
求められれば詳細な説明ができる水準を体得していなければなりません。

その水準を体得して、初めて大きなゆとりを持って
お客様に焦点を合わせた思考や対応が可能となるからです。


次に、プロとして「お聴きする」スキルが必要です。

これは単なる受容に留まらず、お客様に迎合することなく、
正しく導くという姿勢が求められます。

受容というプロセスとプロとしての見識を重ね合わせて
お客様の本質とテーマを明らかにしていきます。

そうして形成された正しいものさし、
つまりコンセプトを軸に、お客様要望の要不要を考えていく必要があります。


最後に難しいのが、お客様と要不要の合意を行うプロセスです。

単に省くだけでは、お客様には「要望を叶えられなかった」という
残念な記憶だけが残ってしまうからです。

まずは、お客様の価値観にある本質とテーマを共有しなければなりません。

それは、住まいづくりを通じてお客様が自身の人生を
再認識し、再発見することに他ならないのです。

そうした深い気づきがあって初めて、
お客様ご本人にとって本当に必要な住まいの姿が見えてきます。

つまり、経済的合理性の追求とは設計者がコストを削るのではなく、
お客様自身が気づきによって納得感を持ち、不要なコストを省く点にあります。

正しく合理性を追求した家は決して貧相な住宅にはなりません。
むしろ、お客様の「らしさ」がストレートに表現された住まいとなります。

様々なコストが上がり続ける昨今。

我々は正しく経済的合理性を追求していく責任があります。

そのためにも、まずはプロとして求められる力量を体得していきましょう。