三陸紀行-2
- 社長メッセージ
皆さんこんにちは。
前回に引き続き、三陸への旅で感じたことを記します。
気仙沼を後にし、次は南三陸に向かいました。
南三陸は防災庁舎の女性職員が、津波の襲来にも関わらず
最後まで避難を呼びかけ続けたことが記憶に残っています。
現在はその防災庁舎は残され、その周辺含めて
公園として一体的に保存整備されています。
その公園の中核にあるのが南三陸311メモリアルです。
これは、かの隈研吾氏による設計です。
氏の設計だけあって極めて個性的なファサードです。
また、氏の設計に共通して地元の県産材が意匠に使用されています。
防災庁舎を取り囲むように整備された公園を
一望できるデッキから眺望の後、ラーニングシアターへ向かいます。
そこでは15分ほどの震災の記録映像を見ながら、
我々の防災に対する備えを問いかける内容でした。
この辺りから、私は複雑な思いが芽生えてきました。
先の気仙沼の伝承館もそうなのですが、
提供しているコンテンツや機能に比べると施設がやたら豪華なのです。
隈研吾氏の設計やその意図は全く否定するものではありませんし、
現に素晴らしい作品でした。
ただそれから受けるイメージは、言葉は悪いのですが
「予算があるだけ全部使った」という感じです。
ちなみに、東北沿岸だけでこのような震災遺構を保存した
展示施設や公園は50ヶ所以上あります。
被災地域の人にとり、インフラ整備や復興投資による
地域の再生は時間との勝負なのだと思います。
加えて、じっくりと精査して計画と予算を
吟味などしている時間がないという側面もあるのでしょう。
巨額な財政投下がなされる復興のプロセスにおいて、
バブルに沸き立つ別の側面を見たような気がしました。
それらも含めて復興ということの真実なのかもしれません。
そうこうしているうちにお昼過ぎです。
隣接する南三陸さんさん商店街で
地元の魚介を使った美味しい海鮮丼をいただきました。
陽光のもと、賑わう商店街と笑顔の地元の人の姿を見て
胸中に抱いた複雑な思いは少々和らぎました。