山海 満也
アルスホーム株式会社
代表取締役社長
山海 満也

父の道具

  • 社長メッセージ
最終更新日:2019.11.19

皆さんこんにちは。

今日は大分暑くなりそうです。

さて今回のテーマは「道具」を取り上げたいと思います。

きっかけは遠隔地との会議システムを導入したことがきっかけです。
映像や音声、資料にいたるやり取りをネットを通じて共有しコミュニケーションできるシステムです。

昨日、福井、金沢、富山の3拠点と現場をすべてオンラインで繫ぎ完成検査を行いました。

「便利になったものだな~」と素直に感動しました。

その日の午後、現場視察に行きました。とある現場に職人さんが使っていたと思われる
エンピツが落ちていました。それは自分にとり、とてもなつかしさを感じるものでした。

私の父は大工だったのですが、落ちていたエンピツは現役の時に使っていた拘りのエンピツだったのです。

ブランドは三菱のハイユニシリーズです。

あずき色のマットな塗装が施されていて高級感があります。



父がこだわって使っていたのは硬度が5Hというもので紙に書いても薄くしか書けません。
木材に直接、線や数字を記入するために使っていました。

たまに母が違うメーカーのものを買ってくると「ダメだ!」と怒っていたことを思い出します。

また、使っているのこぎりは町の金物店で「目立て」を定期的にお願いしていました。

中学生の時に技術の授業で木工の宿題があり学校で購入した木工セットの中にあったのこぎりが
切れにくかったので、目を盗み父ののこぎりで切ってみたところ、同じ道具とは思えない程の
鮮やかな切れ味でびっくりした記憶があります。


当時は今のようにプレカットシステムは無く材料は手刻みです。

現在の実家は父が1人で3カ月ぐらいかけて手刻みで材料を加工しました。

木材1本1本にエンピツで線を入れ、これまたこだわりのあるのこぎりやノミ、
鉋を駆使して材料を加工し、家を作り上げる父は私にとってヒーローであり誇りでした。

時間は一瞬でしたが現場に落ちていたエンピツを見て幼いころに感じていた父への敬意を思い起こしました。

「ああ、懐かしいものを久しぶりに見たな~」と思いつつ、ふと考えました。

今の自分の子供たちは私の働いている姿をどう記憶するのだろう?ということです。

その記憶に寄り添う道具は何なのだろう?と。


少なくとも父のようにエンピツやのこぎりではありません。
そうするとスーツ?それともタブレット?鞄?革靴?・・・・・

あまり特殊な道具は使わない仕事なので自分では思いつきません。


彼らが私ぐらいの年になった時に必ず聞いてみようと思います。30年後のお楽しみです。

会議システムという現在の最新テクノロジーと父が使っていたエンピツという昭和のテクノロジーの
大きなギャップにこれまでの時間の流れと、また自分の子供の将来に思いを馳せたひと時でした。