経営管理の面々経営管理の面々

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「バリアフリー」な選手

『「うまい!」と思わず声が出た。神戸のイニエスタのパスを見た時だ。といっても、Jリーグの試合ではない。相手は小学生なのだった。 ・・・(中略)・・・ ミニゲームに加わったり、一緒に記念撮影に加わったりした。そのゲームを見て記者は驚いたわけである。大人と子供なのだから大人の方がうまいのは当たり前。ましてその大人はプロ中のプロ。子供がかなうわけがない。しかし、イニエスタはそういう「差」を見せつけて、うまさを際立たせたのではなかった。
パスがとにかく丁寧で、走っている子供、動こうとしている子供の、本当にとりやすいところ、次のプレーの邪魔にならないところに、転がしたり通したりするのだった。それはまさに「キラーパス」の対極。
誰にも取れないシュートを放てるもプロなら、誰でも取れるパスを出せるのもプロの証(あかし)ということ?
イニエスタという選手は、一緒にプレーする誰をも「うまくなった」と錯覚させてしまうのではないか。誰をも快適にさせてしまうのではないか。自分でははく、相手の都合にいかようにも合わせられることで。 ・・・(中略)・・・ 』

11月30日付け、日本経済新聞のスポーツ欄。「アナザービュー」という名物コラムに目がとまった。
スペインサッカー黄金期の中軸を担った一人がJリーグにやってくる。二十年近くサッカーに取組んだ私にとっては、高額な契約金よりも、世界のトップクラスがJリーグの選手とかみ合うのかということがよぎったことを今でも覚えている。

そうか、そういうことなのか。
世界が認める「真のプロ」の凄みは、こんな素人の心配など一瞬で吹き飛ばしてしまうものなのだ、と、このコラムを読んで得心した。

なぜこの文章が印象に残ったのだろう。
読み進むにつれて、アルスホーム数年間の取組みが重なってきたのだった。


育児休業復帰後の社員を受け入れる「短時間勤務正社員制度」
遠隔地を映像と音声で結ぶ「テレビ会議システム」「webミーティングシステム」
より手軽に情報交換することのできる「ビジネス版チャット」
職域を超えて社内の課題に取組む「ワークショップ」
自分たちの課題への解決方法を自分たちで探り出す「社員研修」
組織図に表れる役割や身につけるべき技術レベルを明確にした「人事制度改定」
定年を迎えた社員に活躍の場を提供する「雇用延長制度」
企業理念の浸透度や社員の胸のうちを訊く「モラルサーベイ」
上司の存在の是非を問い、そして上司の成長に期待する「部下による上司考課」
家族との時間、自分との時間のための「長期休暇制度」
社員の活躍に光をあてる、一隅を照らす「社員表彰制度」
社員を支えるご家族へ「感謝のギフト贈呈」 


世の「働き方改革」から遅ればせながら、ここ数年の間にいくつものチャレンジを行なってきた。
まさに矢継ぎ早に積み重ねてきたのである。

この後も、様々な視点で新たな取組みがうまれるはず。
でもしかし、数多くのメニューをそろえることだけが目的ではないことも確かである。 

なぜ、この取組みができたのだろう。これら取組みに自分たちはどのように関わり、どのように自分たちのためのものにしていかなければならないのだろうか。
そんな問いかけを社員自身がくり返すことで浸透し、文字通り社員のためのものになっていくのである。

そのときにカギを握るのは、やはり上司や先輩社員。
入社年数の浅い社員や部下が頼りにするのは、上司や先輩社員であるからだ。
上司や先輩社員は、住宅事業の遂行という役割に加え、社内に生まれる様々な取組みの意図を理解し、それらを組織に届かせるという役割も求められる存在なのである。

では、どのように、上司や先輩社員が周囲に関わっていけばよいのか。
冒頭のコラムに、それら問いへのヒントが記されているのではないかと思ったのだった。


かくいう私は、永らく責任者として携わってきた「新卒採用業務」を後進へバトンタッチしている真っ最中。
彼女が、その重要性を理解し、さらには、その醍醐味を体感し、社内を巻き込みながら、アルスホームの語りべとして颯爽(さっそう)と学生の前に立つことが目標だ。

そして、私が担うのは、アルスホーム社員の成長支援。
教育研修制度の充実を推し進めることであり、さらなる働きやすさを推し進めることにある。
難解な課題ではあるけれど、私の背中を押してくれるヒントも、コラムの中に隠れていると思っている。


『 ・・・(中略)・・・ いつでもどこでも誰とでもプレーでき、誰をも楽しく生き生きとさせる。イニエスタのそんなプレーを見ていると、「バリアフリー」や「ダイバーシティ」といった、あるいはこれからの社会に必要とされる間口の広さ、懐(ふところ)の深さ、敷居の低さといった柔らかな言葉を、なぜか連想するのだった。』 
 
                                                                                     平成30年12月26日  経営管理部 見角勝弘